ミュージカル好きの20の質問、やってみた。
ツイッターで流れてきたタグ「#いいねで答えるミュージカル好きの20の質問」、質問内容を考えているのがとても楽しかったので、いいねいただいた数とはもはや関係なく全項目答えてみました。好きなだけ書いたら長くなったのと、一部作品のネタバレを含むのでブログにしました。
最初に、質問を作ってくださった方のツイートを引用しておきます。みなさんの回答を観るのもとても楽しいです。
【回答者】もとさと
1.ミュージカルが好きになったきっかけのミュージカル
たぶん、自分で初めて観たいと思ってチケットを取ったミュージカル。
歌もストーリーもダンスも楽しくて、しばらくこの世界が忘れられずに、原作映画を見てそのサントラCDも買って延々と聴いていた。 音楽とダンス(特に群舞)に彩られた世界って最高だなと思った。
ちなみに、初めて観たミュージカルは子どもの頃に親が連れていってくれた『ピーターパン』(記憶がほぼ無いが、ピーターが飛んでいるのをすごいなあと見上げたことだけ覚えている)。
なお、2019年以降にミュージカルの観劇回数がどっと増えたきっかけは、2019年4月の終わりに突如ミュージカル『エリザベート』の沼にはまったから。
2.音楽が好きなミュージカル
『エリザベート』
2019年以降、特に頻繁に聴いているサントラがこのふたつなので。エリザベートについては各国版のCDを集めるのが趣味になってきている。ウィーン版は良いぞ。
3.ストーリーが好きなミュージカル
『メリリー・ウィー・ロール・アロング』を観た今、これしかないなと思う。
様々な人間関係が壊滅的になった40歳のシーンを始まりとして、過去へ過去へと遡って、前のシーンの行動と心情を明らかにしていく展開があまりにも良かった。また観れたらいいなあ…
4.世界観が好きなミュージカル
『エリザベート』ですね!!
なんであんなに自分にクリーンヒットしたのかとも思うが、黄泉の世界で自分の罪を延々と咎められ続けているルキーニが話を始めるべく、「エリィーザベート!」と叫んだのを観た瞬間にはまった(東宝2016年版DVDの成河ルキ)。元祖のウィーン版、東宝版、宝塚版、みんな違ってみんな好き。
実は、2007年の来日公演を梅芸で観ているのだが、この時の記憶があんまりない。皇太后ゾフィーと家臣たちのシーン(チェスの駒のように見立てた演出があった)がやけに印象に残っている。その後、井上芳雄さんが出ているからという理由だけで東宝版2016年DVDを発売直後に買ったものの観る時間がなく、長いこと積DVD状態にしていた。2019年の4月の終わりに、友達に薦められて1998年宝塚版(姿月トート、花總シシィ)のDVDを観て、その日に帰宅するなり井上トート東宝版を再生して今にいたる。なお、この次の日に城田トート版のDVDも買い、ハマってからの展開が早すぎると友達に言われた。
5.好きなミュージカルの登場人物
ルドルフ from『エリザベート』
アルヴィン from『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』
メアリー from『メリリー・ウィー・ロール・アロング』
思うように生きられなかったというか、言いたかったことを相手に伝えられなかった人達かなあ…。でも、みんな弱いところがあったけれど、優しくて強かったと思う。
6.好きなミュージカルアニメ
ミュージカルが好きになった素地は、子どもの頃に観たディズニーアニメだと思う。近年の実写化も楽しみに観ている。
7.好きな非英語圏ミュージカル
何度でも出てくるが『エリザベート』。
ライブ盤CDは、2005年ウィーン公演版のものを一番聞いているので、もはや日本語版よりドイツ語の方に馴染みがある。 日本のオリジナルミュージカルだと、『デスノート』はとにかく好きな曲が多い。あとはもうCDも映像も残ってないけど『シルバースプーンに映る月』。
8.好きなミュージカルのオープニング
『マリー・アントワネット』新演出版の、マリーの死の知らせを受け取るフェルセンから始まるオープニングの展開。
『エリザベート』や『モーツァルト』も好き。クンツェ氏&リーヴァイ氏の作品ばかりなのだが、タイトルロールの人物の名前が、冒頭で高らかに歌い上げられるのが好きなのかもしかして。プロローグがあって、群衆が出てきて(主役はいなくてもいい)、オープニングタイトルばーん!!(イメージ)みたいな展開のはじまりはテンションが上がる。
9.好きなミュージカルのエンディング
『エリザベート』のラスト。
以下、(主に東宝版と2005年ウィーン版の)ラストシーンのネタバレ全開ですので、観てない方は飛ばしてください。
「私の人生は私だけのもの」と最後まで言い抜くシシィに、「俺のものだ」という言葉を滑り込ませるトートの存在が、最後までシシィにまとわりついた死の影のあるべき姿という感じで好き。さらにその後、ついに死を得たエリザベートの後にただ一人残されるトートの茫然とした表情が良い。死がどんなにシシィを愛しても、彼女を手に入れられるのは彼女が死を迎えるそのほんの一瞬だけだということに、手に入れて失った瞬間に気づいたというあの表情。
あと、ウィーン版2005年(群青色カバーのDVDになっているやつ)だと、この直後、暗転の間際に、自らの首に縄をかけるルキーニの方をトートが振り返って睨みつけるような気がするのだが、あれも好き。ルキーニはトートを冷めた目で見降ろしていて、トートは混乱したような顔でルキーニを睨み上げる(ように私には見える)。この公演では、トートと物語の語り部としてのルキーニは、表裏一体という感じが強く、トートは自らが操っていたと思っていたルキーニに、最後に裏切られたということなのかなと思っている。
10.既成曲の使い方が好きなミュージカル
既成曲……。何がどう既成曲なのかあまりわかっていないのだが、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のフィナーレの曲は、すでに世に出ていたヒット曲を元にしたものだということを最近知って驚いた。
11.好きなミュージカルのデュエット曲
「闇が広がる」『エリザベート』
あまりにも定番だが、なんだかんだで一番好き。それが「闇が広がる」。
男声2人(または男役2人)で歌う時のド定番だし、ありとあらゆる組み合わせが楽しめる曲だなあと思う。個人的に、宝塚の男役経験者以外の方にもぜひ歌って欲しいというか、普通に女声2人の「闇が広がる」観たいなあとも思っている。
日本で(本公演は除いてライブ等で)一番この曲を歌っている人は誰なんだろう。やっぱり井上芳雄さんか。あと、一番多くの組み合わせ経験者は誰なんだろう。田代万里生さんは、おそらくルドルフパートしか歌われていないと思うのだが、もしかすると日本で一番多くのトートを召喚しているルドルフかもしれない。一度まとめてみたい。
あと、2008年に行われた『WIEN MUSICAL CONCERT』のライブ盤CDのラストに、この時の出演者5人で歌った「闇が広がる」が入っているのだが、結果、シシィ、トート、ルドルフ、フランツ経験者が混在した闇広になっていて楽しい。
12.好きなミュージカルのリプライズ
『モーツァルト』から「星から降る金(リプライズ)」
『マリー・アントワネット』初演版から「すべてはあなたに(リプライズ)」
(注意。以下、好きを語るあまり、作品のネタバレがすごいので、観てない人はとばしてください。MA初演はCDで聴きました。)
『モーツァルト』から「星から降る金(リプライズ)」
初見(山崎ヴォルフ)の時に一番心に残ったシーンかもしれない。1幕では父の元から旅立って独り立ちするために諭すように優しく歌われるのに、2幕で、幼いころの自信は消え失せ、生活のための作曲に追われ続けて才能(アマデ)を憎むようになったヴォルフガングの前に、このリプライズが降ってくるシーンがとても残酷で、とても印象的だった。大人になったら人は皆、自分で立ち上がらないといけない。あと、このリプライズで登場する印象が強烈で、そうか男爵夫人って人間じゃないんだなあ(精霊とかのポジション)と思った。
『マリー・アントワネット』初演版から「すべてはあなたに(リプライズ)」
いや初演版は観れていないので、CDだけの印象なのだが、マリーとフェルセンの関係性は割と過酷で陰惨な気がする。新演出版では、マリーとフェルセンのデュエットもソロ曲も増えていて、2人が一緒にいた幸せな時間がしっかり描かれていて良いなあと思うけど、この初演のこうしかできなかった2人の関係性も好き。
初演では、マリーとフェルセンのデュエットが少ないだけに、「すべてはあなたに」がとても印象的に響くのだが、これと同じメロディでラスト間際のあのシーンになるのが、リプライズとしてめちゃくちゃ効いていて怖くて好きだった。何度も聞いてしまう。
あと、初演版1幕の「すべてはあなたに」は、独立戦争を支援するためにアメリカへ旅立つことを決めたフェルセンとそばにいてほしいと願うマリーの別れの歌だが、新演出版1幕の「あなたへ続く道」は、同じメロディで、帰国したフェルセンとマリーが再会を喜び合う歌になる。「あなたへ続く道」は、違う世界線の「すべてはあなたに」のリプライズという感じで好きです。
13.ミュージカル曲の好きな歌詞
要するに、ミヒャエル・クンツェ氏の歌詞とその日本語訳詞が好きだということなのかもしれないが、クンツェ氏&リーヴァイ氏が楽曲を手掛けた作品の、リプライズ部分の歌詞が好き。エリザベートもMAもモーツァルトもとても好き。幸せな時の世界を反転させてこんな風に描くかという感じで。
(注意。以下、MA初演版のネタバレ)
MA初演の「すべてはあなたに(リプライズ)」なのだが、まだ方法はあるはずどうにかして助け出すと言いに来たフェルセンに、最後にマリーが残す言葉が印象的だった。新演出版にはなかったと思う。
14.悪役が歌う好きなミュージカル曲
M!のコロレド大司教が悪役でよいなら、「神よ、何故許される」
MAのオルレアンが悪役でよいなら、「私が王になるために」
またはMA初演版のオルレアンによる「私こそがふさわしい」
クンツェ&リーヴァイ作品しか観ていないのかというラインナップになってきている。
15.メインキャラ以外が歌う好きなミュージカル曲
『ライオンキング』の「ハクナ・マタタ」。いやこの子たちメインキャラな気がするけれども。
そして、ディズニーアニメ版は何回も見ているが、劇団四季の本公演は未見である。すみません。しかし、サントラはめちゃくちゃ聴いているので許してほしい。いやもう好きになった発端は某イベントで4人ぐらいで歌ってらっしゃったのがそれはそれは楽しそうだったからではあるのだが。
あと、メインキャラ以外がということでいうと、主役は一切歌っていないM!の「モーツァルト!モーツァルト!」。東宝2005年のハイライト・スタジオ録音にも収録されているので、なんならM!の曲の中で一番聴いていると思う。
16.ミュージカル化してほしい映画、小説、漫画など
いやこれは難しい。あんまり考えたことがない。自分の好きな小説作品で、ミュージカル俳優脳内配役とかはするけど、それはあくまで概念の話であって、その作品をミュージカル化したのが観たいというわけでもないしなあ。
何だろう…...あ、『ハンガー・ゲーム』はどうだろうか?
いやあの原作小説も映画もめちゃくちゃ好きな人間の戯言だと思ってもらったらいいのだが、あれ少女と少年を主人公にした革命の話だし、適度に中心人物の人数が多いし、実際に戦闘に至る前に色々仕掛けているシーンの方が重要だし、戦闘シーンは歌になりそうじゃないかな?どうかな?(戯言です)
破滅のにおいがする話、ミュージカルに向いていると思う。普段自分が観ているミュージカルがそういう話が多いだけなのではという気もする。
17.一番笑ったミュージカル
笑っ……たことがそんなにない気がする…………
観ている時は、話が明るいかどうかにかかわらず、口角がすごく上がるので(たぶんテンションが上がっているので)、基本顔がニコニコしている気はするのだが、声に出して笑うことそんなにないかも。
言葉遊びの積み重ねや、転じていく状況を次々と見せられて思わずクスッと笑ってしまうとか、完全に笑うには不謹慎だろうという状況を見せられているのにも関わらず、絶妙な一言やシーンによって不謹慎と思いつつも観客がついサワッと笑わされてしまうみたいな状況を作ってくる作品は好きだし、そういう「笑い」は好き。でもミュージカルで観たことないかなあ。三谷作品だとあるのかも。
観劇後に、ああ楽しかった笑顔になったハッピーだったみんな幸せで良かった、みたいな明るいミュージカルも好きなのだが、観た中であんまり思い当たるものがない(そもそもミュージカルに明るい話があんまりない説)。
『ON THE TOWN』(トニセン3人主演版)とか、バカップル最高かみたいな感じで楽しかった記憶があるけど、でもあのニューヨークでひと時を過ごした兵隊たちは、また船に押し込まれて戦争に行く(そしておそらく大半が戻っては来ない)のだろうなとも思ったりした。
あと、笑いどころと関係ないけど、ひえええかっこいいー!ふー!!みたいなシーンを見たときは、(音も声も出さないようにして)めっちゃ笑っている時がある。テンションが上がった時の身体反応なのだろうか。
あ、『CLUB SEVEN』シリーズは笑いますね。あれは楽しいですね。ミュージカルではないか。
18.一番泣いたミュージカル
泣……いた記憶がそんなにない……(またか)
『パレード』の最後の群衆たちのパレードのシーンとか、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』のトムが前を向くのをそっと見ているアルヴィンのシーンとかは静かに泣いていた。
「泣く」というと、俳優さんの涙腺操作技術のすごさにひれ伏してしまいそうな時はある。田代万里生さんのことなのだが。MAの田代フェルセンが、冒頭、マリー処刑を知らせる手紙を受け取って、読んで、「まさか」と歌い出した瞬間に、頬を一筋の涙が流れたのが、完璧すぎてわけがわからなかった。あれどういう技術なんだろう本当に。いや別に、出てくる前に目薬さしてるとかだったらそれでいいんだけど、そうだとしても動いたり、手紙を読むために顔を下に向けたりしたら、先に仕込んでても流れてくると思うので、やっぱりあれ意識的にしていることだよなあ。ここ!という完璧な瞬間に流れる。配信スリルミも、客席奥から長い通路を歩いてきて、舞台中央に立って、年老いた「私」が話し始めて、ここ!というところで涙流してたのすごすぎてびびった。
そうかと思うと、ライブで、井上芳雄さんとMA「私たちは泣かない」のデュエットを歌うときに、ネタとして、思いっきり仕込みで(芳雄さんが背中を向けているすきに)目薬さしてぼろっぼろ泣いてみせたりしてるのが面白すぎた。
19.音楽は好きなのにハマらなかったミュージカル
ミュージカルにハマるかどうかは、音楽にハマるかどうかなので、音楽が好きだと好きになる。
ミュージカル『フランケンシュタイン』とか 、展開につっこみたいことはたくさんあるのだが、曲が良いので全部許したし、もう1回観たい。でもつっこみたいところがたくさんある。
20.ストーリーは好きなのにハマらなかったミュージカル
これもあるようなないようなという感じなのだが、でもやっぱり音楽にハマるかどうかなので、ストーリーは好きでも、音楽があんまりピンとこなかったら、そんなにハマらないんじゃないかなあという気はする。
各種舞台、映像残すのが難しいのはわかるので、せめてCDを残してくれ、曲を聞かせてくれ派(長い)なので、音楽と歌詞が良いと嬉しい。
長くなりました。
楽しかったです。ありがとうございました。