だいだい書庫

長文を書きたかった時の観劇感想のための書庫です

somlとクラレンス

ネタバレになったらあかんのと、なんかつらつら長くなりそうな気配がしたから、ブログに書く。こういう時に、ふせったーというものを使うと便利なんだろうなあと思いました。

さて、ミュージカル「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」の中で何度も登場する映画「素晴らしき哉、人生!」をようやく観た。事前課題的に観劇前に観れたら舞台の理解度が上がるだろうなあ、ということは2019年の初演の時からわかっていたのだが、なんとなくずるずる先延ばしにしてしまっていた。

もっと早く観れば良かった。somlの中で登場するあれがこれか!という一致もあるし、何よりこのお話が大好きだった小さな男の子2人(アルとトム)がさらに愛しくてたまらなくなる。

色々書き留めておきたいことはあるのだが、1番驚いたのは「天使の輪っかに羽根をつけたクラレンス」は映像としては登場しなかったことである。いなかったよね??

映画の中で、ジョージ・ベイリーを助けた2級天使クラレンスは、その功績により羽根を手に入れる。それがわかるのは、天使が羽根を手にした合図のベルが鳴るから。そして、「トム・ソーヤの冒険」に書かれたクラレンスからのメッセージがあるから。映像としては、羽根をつけたクラレンスは出てこない。

つまり、ハロウィンでのトムの仮装、羽をはやして天使の輪っかを手に入れたクラレンスの姿は、あの映画を見た幼いトムが想像して形にした姿だったんだ。そして、同じようにあの映画を愛していたアルにだけそれがわかったんだ。

ということを今にしてようやく理解した。

あの出会いのシーンが一等特別であることと、「素晴らしき哉、人生!」という古い映画を好きだったことが幼い2人を結びつけたということまではわかっていたけど。映画の中で直接には描かれていないクラレンスの姿を2人が同じように想像したんだなあということ、好きなものを想像してそれを形にすることをトムはこの時からしていたんだなあということなどなどにも思い至った。

somlのトムとアル。幼い頃はアルだけではなく、トムだって同年代の集団の中で浮くぐらいには個性的で、彼らを結びつけたのは、2人が大好きな物語の中のクラレンスであり、2人のことをちゃんと見ていた先生のミセス・レミントンなんだなあと思った。