【キャストメモ】「エリザベート」コンサート2022 in シェーンブルン宮殿
WOWOWで11月5日(土曜)19時半から放送されたシェーンブルン宮殿での「エリザベート」コンサート。すごく楽しかった。歴代キャストが合わさった豪華キャストと、シェーンブルン宮殿を背景にという豪華な舞台での公演を放送してくれて本当にありがとう。字幕もしっかりついていて、ずっとなんとなく聞いていたウィーン版CDへの理解も深まりとても嬉しい。
歴代キャスト大集結で、それはそれは豪華な俳優陣だった。ウィーン版公演はCD化されているものが多いので、誰がどの公演のキャストだったかをまとめておきたくて、これを書いている。過去のCDを聞き返すときのメモになるかなと思って。
なお、今回の公演のキャスト名は、WOWOW公式の番組ページから引いています*1。
ミュージカル「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿 | ステージ | WOWOWオンライン
公演:2022年6月30日、7月2日(オーストリア・ウィーン シェーンブルン宮殿)
役名/役者名
エリザベート(オーストリア皇妃)/マヤ・ハクフォート(Maya Hakvoort)
シシィ(エリザベートの少女時代)/アブラ・アラウィ(Abla Alaoui)
トート(死) /マーク・ザイベルト(Mark Seibert)
ルイジ・ルキーニ/ダフィット・ヤーコプス(David Jakobs)
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝) /アン ドレ・バウアー(André Bauer)
ゾフィー(オーストリア皇太后)/ダニエラ・ツィーグラー(Daniela Ziegler)
ルドルフ(オーストリア皇太子)/ルカス・ペルマン(Lukas Perman)
以下、それぞれのキャストの「エリザベート」出演歴と収録円盤についてまとめておきたい。主にWikipediaと収録CD・DVDのキャスト表記などを元にしてまとめたが、事実誤認の可能性もあるので、ご参考程度に。
1994~1998年、2003~2005年のウィーン公演でエリザベート役をつとめた。日本でも2007年の招聘公演と2012年コンサート公演でエリザベートを演じている。2012年来日コンサートホームページの紹介文*3によると、その時点でのエリザベート出演回数世界一らしい(おそらく現在も、だろうか)。
円盤化されているものでは、1996年ウィーン公演全編ライブ盤CD(2枚組、扇で顔を隠すシシィのジャケット写真のもの)、2004年ウィーン公演のスタジオ録音盤CD*4(青色ジャケットのもの)、2005年ウィーン公演の全編ライブ盤CD*5(えんじ色ジャケットのもの)、2005年ウィーン公演の全編DVDなどがある。
あまりにも歌が強い。ほぼ記憶のかなたなのだが一応2007年の来日公演観劇が私の親「エリザベート」なのと、2019年に突如エリザベートの世界に転がり落ちた後は2005年ウィーン盤CDを延々と聞いて、なにかといっては同公演のDVDを見ているため、私にとってのエリザベートはこの方の印象が強い。2005年ライブ盤CD収録の「私だけに」の特に後半の歌い上げるところがすごく好き。あと、2005年公演のトート役(Máté Kamarás)との「私が躍る時」は、対決というか闘いという印象で、トートもシシィもばちばちに強くてとても好きである。
過去のCDなどには登場されていないようで、エリザベート役を演じるのは、これが初めてと思われる。ウィーン公演「モーツァルト!」ナンネール役、「ダンス・オブ・ヴァンパイア」サラ役、「ミス・サイゴン」エレン役などがあり、2022年~2023年は「ノートルダムの鐘」でエスメラルダ役を演じられているとのこと。
少女時代とはいえ、Wikipediaによると1990年生まれの役者さんのようなのだが、とても可憐で無邪気なシシィを演じていらしてすごく好きだった。
トート:Mark Seibert*7
2011~2012年のドイツツアー公演、2012~2014年のウィーン公演、2015年のエッセン・ミュンヘン公演、2019年のシェーンブルン宮殿コンサート公演でトート役を演じている。
円盤化されたものだと、2011~12年のツアー公演*8(金色背景に赤い羽、シシィ役のビジュアルありのジャケットのもの)、ウィーン公演2012年ライブCD*9(紫色ジャケットのもの)、2019年シェーンブルン宮殿コンサート版のCD*10がある。
個人的にすごく好きなのが、2012年CDに収録されたリプライズの「Die Schatten werden länger (闇が広がる)」。歌詞の「GREIF NACH DER MACHT!」の部分(今回のWOWOW放送の字幕では「権力を掴め!」と翻訳されていた。日本語訳詞では「王座に」の音が当たっている部分)、この箇所をささやくように歌われるのだが、この歌い方がとても好きなのである。さんざんルドルフを煽った後に、「権力を掴め」とささやき、その直後に高らかに「TU ES AUS NOTWEHR(正当防衛だ!)」と歌い上げる(日本語訳詞だと「王座に…座るんだ」のところ)。
ウィーン公演では、「闇が広がる」の後に続けて「父と息子」の流れなので、ルドルフが自分で気づかぬままにトートに父への対立意識を植えつけられていったという感じが際立っていてすごく良いなと思いました。ささやくのかよ……そこ……という。マーク氏、これ以外の収録盤だと2012年のCDのようには声音を変えていないので、この時だけだったのかもしれない。最高に好きなのだが。
ということで、今回、初めてマーク氏のトートを映像で観られてとてもとても嬉しい。
ルイジ・ルキーニ:David Jakobs*11
2019年のシェーンブルン宮殿コンサート上演でルキーニを演じている(CD収録)。「ジーザス・クライスト・スーパースター」ユダ役や、「ノートルダムの鐘」カジモド役などをされているらしい。
とてもロックなルキーニだった。ウィーン版のルキーニ、だいたいロックだけれども。シャウトがすごく決まっていてかっこいい。「MILCH」や「HASS」のところで、群衆たちを扇動する言葉をするりと入れ込んでいくのがすごく上手いなと思った。
フランツ・ヨーゼフ:André Bauer*12
2003~2005年のウィーン公演でフランツ・ヨーゼフを演じ、2012年の来日コンサートでも同役を演じている。
円盤化されているものでは、マヤ氏のエリザベートともに2004年ウィーン公演スタジオ録音盤CD、2005年ウィーン公演全編ライブ盤CDと同公演DVDがあり、マヤ氏のエリザベートの相手役といえばこの方、というイメージだった。
2005年DVDの時の「悪夢」の最後で「エリザベート!」と絶叫するところがすごく印象に残っている。今回のシェーンブルン宮殿2022年の公演でも、おふたりのエリザベートとフランツが観られて嬉しい。
2012~2013年ウィーン公演と2019年シェーンブルン宮殿コンサートで皇太后ゾフィーを演じ、どちらもCD収録されている。2022年版の本放送も合わせると、3人の役者さんが演じるフランツに対しているのが聴けたり観れたりして楽しい。
前半の堂々とした皇太后の姿と、フランツに決別を告げられた後に皇太后の立場と個人としての自分の間がわずかにみえるソロの表情がとても印象的だった。皇后の生きざまとして、エリザベートの対比だよね、ゾフィーという存在。
ルドルフ:Lukas Perman*14
2003~2004年ウィーン公演、2007年・2012年の来日公演(2012年はコンサート版)、2013~2014年ウィーン公演、2019年シェーンブルン宮殿コンサート版でルドルフを演じている。
円盤化されているものだと、2004年ウィーン公演のスタジオ録音盤CD(青色ジャケットのもの)と2019年シェーンブルン宮殿コンサートのCDがある。
来日公演で拝見しているはずなのだが記憶のかなたなので、もっぱら2004年スタジオ録音盤と2019年公演のCDで聴いていた。くっきりした「Wenn ich dein Spiegel wär(僕があなたの鏡だったら)」を歌う人という印象。中盤で「ママ」とはっきりと呼びかけ*15、なんとか母を説得しようと言葉を強めていく感じがする。本質的には強いのに、誰に縋りつくこともできずに宮廷生活に押しつぶされていき、最後の最後に縋った母にも手を離されて絶望したというのが歌の過程の中でありありとわかって辛い。
今回の放送で、映像で観られてとても嬉しいし、しばらく本気で引きずると思う。このルドルフが絶望して、マイヤーリンクになる流れはすごくしんどくてすごく見ごたえがあるのよ。ウィーン公演のマイヤーリンク、ルドルフが徹底的に死の影(みたいな存在)に嬲られている感じがする。銃を求めて追いすがって、でもなかなか渡してはもらえないという。
ところで、調べている中で、今回のトートであるマーク氏とルドルフのルカス氏は、ほぼ同年代で学生時代からの友人であり、かつて「ロミオとジュリエット」でロミオ(ルカス氏)とティボルト(マーク氏)で共演したことがあると知り、なんというかすごくテンションが上がりました。同年代のトートとルドルフ、最高じゃないですか?!
【その他参考にしたもの】
*1:公式ページではカタカナ表記だったので、カタカナ表記はそのままとして、アルファベット表記を別途調べて書き足している
*2:
*3:
梅田芸術劇場│ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート~日本スペシャルヴァージョン~
*4:
*5:
*6:
*7:
*8:
*9:
*10:
*11:
*12:
André Bauer (Schauspieler) – Wikipedia
*13:
*14:
*15:別の役者さんだと消え入るような声で「ママ」とささやく人もいて、それはそれですごくルドルフがかわいそうに見えて好きなのだが
*16:本公演は観ていないのだが何故か持っているパンフレット。2019年にエリザベートに転がり落ちたときに買いあさったのだと思われる。今更気が付いたが、マーク氏とルカス氏の対談が掲載されていて、ぎゃああああとなりました。ありがたい。